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連続の式
2008 / 01 / 31 ( Thu )

流れの連続の式として、

ρ/∂t + ∂(ρu)/∂x + ∂(ρv)/∂y + ∂(ρw)/∂z = 0

を紹介しました。仮に流体が非圧縮性ですと、密度 ρ は変化しませんので、連続の式は次のように簡略化されます。

u/x + ∂v/∂y + ∂w/∂z = 0

1階の偏導関数のみからなる見た目にも簡単な偏微分方程式になります。しかしながら、この方程式を直接解くことができる数値計算手法は見当たりません。事実上、この方程式は直接解けないと考えた方がよさそうです。

実は、非圧縮性流れの連続の式がこのような形をしていることが、非圧縮性流れの数値流体力学の展開にとって極めて重要な意味を持ちます。

これまで紹介した、反応方程式、移流方程式、そして拡散方程式にはいずれも時間微分項、u/∂t が含まれており、差分法では

un+1 = unt f n

のように反復計算しました。このような計算手法を時間進行法(Time-marching Method)と呼びます。時間微分項がある方程式は時間進行法を用いて比較的簡単に解くことができます。しかしながら、この項がないと別の手法で解かなければなりません。連続の式を解く適当な手法が見当たらないというのが現状です。

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21:34:41 | 数値流体力学 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
ナビエ・ストークス方程式とは
2008 / 01 / 30 ( Wed )

計算数理科学として、反応方程式、移流方程式、そして拡散方程式を紹介してきました。それでは次の方程式はどうでしょう。

 

ρ/∂t+ ∂(ρu)/∂x + ∂(ρv)/∂y + ∂(ρw)/∂z = 0 

 

 これは、三次元流れの連続の式(Continuity Equation)です。t は時間、(x,y,z)は三次元直交座標、(u,v,w)は(x,y,z)方向の流速、ρは流体の密度です。すべて、1階の偏導関数から成っており移流方程式に似ています。

 

次はどうでしょう。

 

∂(ρu)/∂t + u ∂(ρu)/∂x + v ∂(ρu)/∂y + w ∂(ρu)/∂z

                                     = -∂p/∂x +μ(∂2u/∂x2 + ∂2u/∂y2+ ∂2u/∂z2

 

∂(ρv)/∂t + u ∂(ρv)/∂x + v ∂(ρv)/∂y + w ∂(ρv)/∂z

                                      = -∂p/∂y +μ(∂2v/∂x2 + ∂2v/∂y2+ ∂2v/∂z2

 

∂(ρw)/∂t + u ∂(ρw)/∂x + v ∂(ρw)/∂y + w ∂(ρw)/∂z

                                     = -∂p/∂z +μ(∂2w/∂x2 + ∂2w/∂y2+ ∂2w/∂z2

 

複雑すぎてよく見れないかもしれません。これらは比較的遅い流れの運動方程式(Momentum Equations)です。三次元の場合には3つの方程式からなります。pは圧力で、μは粘性係数です。とりあえず、これまでの知識から1階と2階の偏導関数からできているのがわかります。移流方程式と拡散方程式が混ざったような形をしています。ただし、厳密には2階微分項の部分はもう少し複雑になります。これについては改めて説明いたします。

 

最後に、

∂(ρh)/∂t + u ∂(ρh)/∂x + v ∂(ρh)/∂y + w ∂(ρh)/∂z

                                     = κ(∂2T/∂x2 + ∂2T/∂y2+ ∂2T/∂z2

 

は比較的遅い流れのエネルギー方程式(Energy Equation)です。hは比エンタルピー、Tは温度、κは熱伝導係数です。これも、移流方程式と拡散方程式が混ざったような形をしているのがわかります。特に右辺は、熱伝導方程式の拡散項と同じです。

 

ここで紹介した5つの方程式は、流体力学の完成形である、三次元ナビエ・ストークス方程式(Navier-Stokes Equations, 略してN-S 式)のひとつの表記形です。いろいろな仮定の導入で、N-S式の記述方法も違ってきます。ところで、一般的に非圧縮性のN-S式とは運動方程式そのものを指すことが多いようです。

 

数値流体力学では、流体力学の基本知識は重要です。ただ、とりあえずN-S式を構成する各項、すなわち、時間微分項(TIme-derivative Term)、対流項(Convection Term)、圧力項(Pressure Term)、そして粘性項(Viscosity Term)がどのような偏導関数から成り立っているかがわかれば、数値計算することはできます。

 

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21:29:00 | 数値流体力学 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
熱伝導方程式を解く
2008 / 01 / 29 ( Tue )

「拡散方程式」で紹介した次の熱伝導方程式を解いてみましょう。

du/dt = d2u/dx2

これを差分法で近似すると、

un+1|x-un|x)/dt = (un|x+dx 2un|x un|x-dx ) / ( dx )2

のようになります。なぜこのようになるのかについての説明はここでは省略します。2階の偏導関数を差分近似すると、いま計算しようとするxでのun|x の値と、そのとなりのun|x+dxun|x-dx にそれぞれ-2,1,1を掛けて足し合わせ、それを( dx )2で割るとだけおぼえていてください。さらに変形すれば、

un+1|x= un|x dt (un|x+dx 2un|x un|x-dx ) / ( dx )2

が得られます。

いま長さ10で温度10度の任意の物質を考えます。x=0を10度で冷やし、x=10を100度で熱すると、x=10から熱は内部に徐々に伝わってきます。dx=1、dt=0.5として、n=10まで計算した結果をグラフにしますと、

温度分布(dt_0_5)

のようになりました。物質の内部に熱が伝わり、温度が徐々に上がっていく様子が示されています。もっと計算を繰り返すと、最終的にはx=0の10度と、x=10の100度を直線でつないだような温度分布になります。ところで、同じ計算を、dt=0.6で再度計算してみますと、

温度分布(dt_0_6)

が得られました。温度が波打っていますが、現実的にこのようなことは起こりません。これは数値振動(Numerical Oscilation)と呼ばれる数値計算特有の解の振動です。非物理的な値ですのでおかしな計算をしていることになります。移流方程式のところでも紹介したように、線形安定性理論から、dt=0.5では安定、dt=0.6では不安定ということが説明できます。たった0.1の違いですが、数値計算の世界では決定的な差となって現れます。

 

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19:20:20 | 計算数理科学 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
拡散方程式
2008 / 01 / 28 ( Mon )

拡散とは、読んで字のごとくで拡がり散らばることです。物理学ではそれを拡散現象といいます。匂い、流行、うわさなどいろいろなものが拡散します。拡散現象を模擬する数理モデルを拡散方程式(Diffusive Equation)と呼びます。拡散現象は、数学的には2階(要するに2回微分している)の偏導関数 d2u/dx2 で表現されます。本当は、微分記号のd は偏微分ではパーシャル記号(数字の6を反転させたようなもの)に置き換えますが、エディタの都合で同じ記号をとりあえず使用します。

いま代表的な拡散方程式として、

du/dt = d2u/dx2

があります。これは時間に依存した拡散現象を模擬するための方程式です。具体的な例としては、お風呂です。お風呂の温度は刻々と変化します。暖めている熱が温度の低いところへ伝わっていってお風呂はだんだん熱くなっていきます。このような熱の伝わりを専門用語で熱伝導(Heat Conduction)といいます。そのようなことから、上記の式は熱伝導方程式(Eqation of Heat Conduction)とも呼ばれます。正確には右辺に係数がついて、

du/dt = k d2u/dx2

のようになっています。この係数のことを、熱伝導係数(Coefficient of Heat Conduction)といいます。熱の伝わり方は物質ごとに異なります。この係数の値は物質ごとに違った値になっています。金属と空気を比較すれば、金属の方が熱が伝わりやすいので、この係数の値は空気に比べて2桁近く大きな値になります。

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18:50:57 | 計算数理科学 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
移流方程式を解く
2008 / 01 / 27 ( Sun )

「偏微分方程式と常微分方程式」で紹介した移流方程式

du/dt =du/dxを実際に解いてみましょう。簡単に説明するため厳密解は、

uxt

とします。差分法では、とりあえず

un+1|x-un|x)/dt = (un|x+dx - un|x-dx ) / ( 2dx )

と差分近似できます。 数式エディターがないので、式をわかりやすく記述できないのが残念ですが、un+1|x|xは、あるxおける値を意味します。ここでのx は、空間の1次元座標です。|x+dxx から dx だけずれたところを意味します。xにおける偏導関数 du/dxは、2次精度の中心差分(Second-order Central Difference)というもので差分近似されています。さらに変形しますと、

un+1|x= un|x dt ( un|x+dx - un|x-dx ) / ( 2dx )

となり、この式をn = 1,2,3,・・・と繰り返して計算します。詳しい説明はまたあとですることにしまして、x=0からx=1の領域でdx=0.1とし、t = 0 から dt = 0.01 で計算してみましょう。なお、x=0 と x=1のu には厳密解を与えることにします。まず厳密解の値を示しますと、

  n  t
  00.10.20.30.40.50.60.70.80.91 x
10.010.010.110.210.310.410.510.610.710.810.911.01
20.020.020.120.220.320.420.520.620.720.820.921.02
30.030.030.130.230.330.430.530.630.730.830.931.03
40.040.040.140.240.340.440.540.640.740.840.941.04
50.050.050.150.250.350.450.550.650.750.850.951.05
60.060.060.160.260.360.460.560.660.760.860.961.06
70.070.070.170.270.370.470.570.670.770.870.971.07
80.080.080.180.280.380.480.580.680.780.880.981.08
90.090.090.190.290.390.490.590.690.790.890.991.09
100.10.10.20.30.40.50.60.70.80.911.1 

となります。次に差分法で解きますと、

  n  t
  00.10.20.30.40.50.60.70.80.91 x
10.010.010.110.210.310.410.510.610.710.810.911.01
20.020.020.120.220.320.420.520.620.720.820.921.02
30.030.030.130.230.330.430.530.630.730.830.931.03
40.040.040.140.240.340.440.540.640.740.840.941.04
50.050.050.150.250.350.450.550.650.750.850.951.05
60.060.060.160.260.360.460.560.660.760.860.961.06
70.070.070.170.270.370.470.570.670.770.870.971.07
80.080.080.180.280.380.480.580.680.780.880.981.08
90.090.090.190.290.390.490.590.690.790.890.991.09
100.10.10.20.30.40.50.60.70.80.911.1

になります。厳密解と同じ値になりました。それでは、dt を一桁増やしてdt = 0.1 として同じ計算をしてみましょう。厳密解は、

  n  t
  00.10.20.30.40.50.60.70.80.91 x
10.10.10.20.30.40.50.60.70.80.911.1
20.20.20.30.40.50.60.70.80.911.11.2
30.30.30.40.50.60.70.80.911.11.21.3
40.40.40.50.60.70.80.911.11.21.31.4
50.50.50.60.70.80.911.11.21.31.41.5
60.60.60.70.80.911.11.21.31.41.51.6
70.70.70.80.911.11.21.31.41.51.61.7
80.80.80.911.11.21.31.41.51.61.71.8
90.90.911.11.21.31.41.51.61.71.81.9
10111.11.21.31.41.51.61.71.81.92 

となります。一方、差分法では、

  n  t
  00.10.20.30.40.50.60.70.80.91   x
10.10.10.110.210.310.410.510.610.710.810.911.1
20.20.20.120.220.320.420.520.620.720.820.921.2
30.30.30.120.230.330.430.530.630.730.830.941.3
40.40.40.110.240.340.440.540.640.740.840.971.4
50.50.50.110.250.350.450.550.650.750.850.991.5
60.60.60.090.260.360.460.560.660.760.861.031.6
70.70.70.080.280.370.470.570.670.770.881.061.7
80.80.80.050.290.380.480.580.680.780.891.111.8
90.90.90.030.310.390.490.590.690.790.911.151.9
1011-00.330.40.50.60.70.80.931.22 

になりました。今度は、厳密解と違い少し変な値が計算されています。この違いは、「数値流体力学のはじまり」で紹介したフォンノイマンが提案した線形安定性理論により説明することができます。ただし、その説明はやや手間がかかるのでここでは省略します。

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09:55:16 | 計算数理科学 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
偏微分方程式と常微分方程式
2008 / 01 / 27 ( Sun )

常微分方程式として、反応方程式 du/dt =-u を紹介しました。この場合の t は時間でした。数学では独立変数と呼ばれます。一方、偏微分方程式とは、英語では、Partial Differential Equation(略してPDE)で、独立変数が2つ以上の微分方程式のことをそう呼びます。たとえば、

du/dt =du/dx

は最も簡単な偏微分方程式の一つです。数値流体力学や計算数理科学の分野では、移流方程式(Convective Equation)に分類されます。

この方程式の解としては、たとえば

ux+t

があります。偏微分方程式を微分する際には、微分しようとする独立変数の項のみが微分され、それ以外のものは定数として取り扱われますので、u x  で偏微分しても t  で偏微分してもその値は同じ、すなわちこの場合には du/dt =du/dx=1になり、結局上記の移流方程式が成り立ちます。実は、独立変数x 、t からなる任意の関数(正確には偏微分を含みますので、偏導関数と呼ばれます)を、f とすれば、

u( x+t )

であれば、すべて上記の移流方程式が成り立ちます。移流方程式は、数値流体力学、特に圧縮性流れの計算手法にとって極めて重要な偏微分方程式です。

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08:27:26 | 計算数理科学 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
2つの反応方程式
2008 / 01 / 26 ( Sat )

反応方程式を2つ同時に解いて、2つの物質の化学反応を模擬してみましょう。
いま、物質 u v があるとします。化学反応により、物質 u が物質 に変化する数理モデルは、次の2つの反応方程式で簡単に模擬することができます。

du/dt = -vu

dv/dt = uv

これらから、「微分方程式と差分法」で説明したように、差分法により、

un+1 = un-dt vun

n+1 = vndt uvn

が作られます。

初期値として、t =0で、99%の物質 がu で残りの1 とすれば、dt=0.9で実際に計算すると、

     n        t     u     v
10.90.981090.01891
21.80.9643930.035607
32.70.9334870.066513
43.60.8776080.122392
54.50.7809370.219063
65.40.6269690.373031
76.30.4164780.583522
87.20.1977570.802243
98.10.0549730.945027
1090.0082170.991783

のようになります。n = 10で、u  の値がほぼ逆転しているのがわかります。この計算をさらに続けますと、u = 0、v = 1に漸近します。

化学反応を例にして説明しましたが、何でもかまいません。何かが別の何かに変化することは、世の中にたくさんあります。そのような現象や事象が、2つの反応方程式により模擬できるわけです。ただし、もう少し複雑な式になるかもしれません。

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21:17:48 | 計算数理科学 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
反応方程式
2008 / 01 / 26 ( Sat )

「微分方程式と差分法」のところで説明した常微分方程式 du/dt =-u は、数理科学の分野では、反応方程式(Reactive Equation)と呼ばれます。反応とは、まさに化学反応です。du/dt =-u t を十分大きな値にしたときゼロに漸近しますが、u が何か物質だとすれば、その物質が十分時間が経ったのちに別の物質に変化して、その物質自体はなくなってしまったことを模擬しています。その場合に、t は時間そのものです。

いま、du/dt =u とすれば、この常微分方程式の厳密解はet になりますので、t を十分大きくすると今度はu は爆発的に大きな値になります。ただし、このような化学反応はあまり現実的ではありません。爆発的に増えるものとしては、インフルエンザウイルスの増殖などが考えられます。伝染病の伝播を模擬した数理モデルもこれまでにいろいろ研究されており、この式の形が基本になります。

数理科学では、反応方程式の左辺を、時間微分項(Time-derivative term)、右辺を反応項(Reactive term)と呼びます。

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数値流体力学のはじまり
2008 / 01 / 25 ( Fri )

数値流体力学研究は、20世紀に入ってから始まりました。ですから、100年程度の歴史があります。1910年に発表されたRichardsonの論文がその始まりという説もあります。創世記の代表的な研究を系統図にまとめてみました。

 CFDHistory.gif
FDMは差分法のことです。AMはApplied Mathematics、応用数学のことです。実は、FDM以外にも有限要素法(Finite Element Method, 略してFEM)、境界要素法(Boundary Element Method,略してBEM)などもあります。ここではFDMの話に限定します。

FDMは、応用数学の影響を強く受けています。応用数学者がFDM自体を研究している場合もあります。1950年以前というのは、まともなコンピュータはありません。紙とえんぴつ、もしくはタイガー計算機(手動の手回し計算機)などを用いて研究していた時代です。1946年にやっと、真空管でできたコンピュータENIACが誕生しました。

フォンノイマン(Von Neumann)という研究者の名前はご存知でしょうか?コンピュータの原理を提案した偉大な研究者ですが、いろいろなことを研究しました。FDMの基礎になる線形安定性理論(Linear Stability Analysis)というのも提案しています。

1950年代に入り、コンピュータの進歩とともに数値流体力学の研究は急速に発展していきます。上記以降の時代の研究についてはまた後ほど紹介することにしまして、大きな研究の方向としては、圧縮性流れの数値流体力学と、非圧縮性流れの数値流体力学がそれぞれ独自の計算手法に基づき進展してゆきます。

圧縮性流れ(Compressible Flow)と、非圧縮性流れ(Incompressible Flow)の違いは、空気と水の流れの違いと同じです(厳密には水も圧縮性を持っています)。風船の中に空気と水を入れて風船の外から力を加えると、空気の風船は縮みますが、水の風船は縮みません。この縮む現象、すなわち、空気の密度は変化しますが、水の密度はほとんど変化しません。この密度の変化があるとないでは、数値流体力学において、決定的な計算手法の違いになって現れます。MAC法(Marker and Cell Method)と書かれた方法は、こののち非圧縮性流れの数値流体力学において標準的な計算手法となっていきます。


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15:06:55 | 数値流体力学 | トラックバック(1) | コメント(0) | page top↑
微分方程式と差分法
2008 / 01 / 24 ( Thu )

e-t を微分すると、-e-t になります。u e-t とすれば、u’ -e-t ですから、u’ -u になります。この式のことを微分方程式(Differential Equation)と呼びます。正確には常微分方程式(Ordinary Differential Equation)です。du/dt =-u とも書けます。

一方、差分法(Finite Difference Method)は、その英語の頭文字をとって、FDMと呼ばれ、数値流体力学や計算数理科学の基礎として広く用いられている計算手法です。いま、du/dt = -u を差分法で解いてみましょう。まずは次式を作ります。

un+1 -un)/dt = -un

ここで、n は時間ステップと呼ばれます。べき乗ではありません。この式をさらに変形して、

un+1 = un-dt un

これは、コンピュータプログラムの代入文に近い式で、n の値を1,2,3,・・・と増やしながら繰り返し計算する式です。いま、n =1 で、t = 0, u = 1 として、t  をたとえば0.9ずつ、すなわち dt = 0.9 で繰り返し計算すれば、

            n            t            u
10.90.1
21.80.01
32.70.001
43.61E-04
54.51E-05
65.41E-06
76.31E-07
87.21E-08
98.11E-09
1091E-10

となり、u がだんだんゼロに漸近していくのがわかります。もともと、u e-t でしたから、近似的にこの指数関数の解を差分法により求めることができます。ただし、注意しなければならないのは、t の値を十分大きくして、u の値が変わらなくなったところが収束した解ですので、そこに至るまでの値は正確ではなく、あまり意味がありません。

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使える数学
2008 / 01 / 23 ( Wed )
小学校で算数、中学・高校で数学、そして大学で解析学や応用数学と長らく数学を勉強しました。最初は直接数字や図形などを扱うのでわかりやすかったのですが、だんだん記号が多くなったり抽象的になってわかりにくくなりました。私も大学の解析学の講義では、無限の定義がどうのこうのという内容が最初にあったため、入学して1ヶ月もしないうちに、講義がつまらなくなりました。もしそのときに数値流体力学の話を聞いて、その基礎には今習っている講義が重要であるということを、一言先生がコメントしてくれていたら、さぞかしやる気になっていたであろうと想像しますが、それは無理な話でした。

解析学や応用数学を教えている先生は、数学を専攻する先生ですから、数値流体力学など知らないし、そもそも日本の数学屋さんにしてみれば、数値流体力学などは「ゴミ」かもしれません。日本にはあいにく、数学と工学を橋渡ししてくれる人材養成機関が見当たりません。数学は数学屋、工学は工学屋がやるのが当たり前だからです。でも海外の大学では、数学科のなかに応用数学を専攻する数学者がおり、数値流体力学の基礎を研究している研究者もたくさんいます。彼らは応用先としての数値流体力学を念頭においた研究をしています。

日本ではその応用数学の研究者が不足しているため、工学屋が肩代わりしているのが現状です。日本から数値流体力学に有用な計算手法がほとんど提案されていない最大の原因かと思います。

応用数学では、偏微分方程式を教えます。数値流体力学にとって偏微分方程式は必須です。これまで数学で勉強した微積分、代数幾何も極めて重要です。数値流体力学に興味がある方は、しっかり勉強しましょう。

同じことが、流体力学の講義にも当てはまります。一般的に、講義では簡単なものから、だんだん難しい内容へと展開します。最後まで飽きずに話についていくのは結構たいへん。私はむしろ、最初にナビエ・ストークス方程式の話をするべきではないかと思います。それは流体力学の完成形だからです。それを目標に据えて講義を聞けば、モチベーションがかなり違ってくるのではないかと思います。あいにく、現状ではその方程式にたどり着く前に講義が終わっているようです。

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数値計算、実は算数
2008 / 01 / 22 ( Tue )
数値計算はやった経験がない人の方が多いでしょうが、知らないうちに数値計算の恩恵にあずかっています。その最たるものは、ゲーム。アクションゲームやシミュレーションゲームは数値計算のかたまりのようなものです。他にも、パソコン、自動車、携帯、地デジ、コンビニ、そして今書いているブログなど、それらのどこかで必ず数値計算が行われています。さらに、気象や津波予報から株価予想など身の回りに数値計算は欠かせません。

数値計算ではたしかに難しい数式が解かれるのですが、最終的にコンピュータの中ではそれらの数式は細かく分解されて四則演算になります。したがって、コンピュータがやっているのは小学校で勉強する算数レベルの計算です。ただし、その回数は1秒間に数億回から数兆回というものすごい回数です。

数値計算は、難しい数式を四則演算に噛み砕いてコンピュータに計算させるための手段です。

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数値流体力学とは
2008 / 01 / 22 ( Tue )
数値流体力学は、Computational Fluid Dynamicsの日本語訳で、英語の頭文字を取って、通称、CFDと呼ばれます。本来ですと、計算流体力学と訳されるのが自然ですが、最初に訳した日本人の研究者がこのように訳したことから、その後、CFDのことを数値流体力学と呼ぶのが一般的になりました。

流体力学とはいろいろな流れを研究する学問で、身の回りにある流れ、たとえば川の流れや空気の流れから、自動車や航空機周りの流れ、そして台風や海洋流などの地球規模の流れなど、様々な流れの力学です。数値流体力学は、そのような流れをコンピュータを用いてシミュレーションする学問です。私は学生の時から約25年間、このCFDの研究を続けています。

流体力学では流れを偏微分方程式で表現します。その数式をコンピュータで計算します。数値流体力学ではこの流れを支配している数式を、如何に精度良く、そして速く計算するかが研究されてきました。したがって、流体力学の知識のみならず、コンピュータの知識も必要になります。

流体力学の完成形としての偏微分方程式は、ナビエ・ストークス方程式(Navier-Stokes Equations)と呼ばれます。NavierとStokesの両研究者により構築された偏微分方程式で、数値流体力学ではこの方程式がコンピュータにより解かれます。実はこの方程式は1つの方程式ではなく、複数の連立方程式から成っています。流れの連続、運動、そしてエネルギーを支配する方程式です。なお、運動方程式の数は次元の数だけありますので、三次元では、5つの連立方程式となります。

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計算数理科学とは
2008 / 01 / 21 ( Mon )
計算数理科学という名前は、あまり聞きなれないかもしれません。別に私が考えたものではなく、このキーワードで検索すれば、いくつか既存のホームページにこの名前を見つけることはできます。ただし、研究室名にこの名前がついているのは、私の研究室が初めてかもしれません。

さて、計算数理科学は、「計算」と「数理科学」からなっています。まず、数理科学ですが、自然科学や社会科学の様々な現象や事象から、数学的手法を用いてそれらをモデル化する、すなわち、数理モデルを構築する学問です。この分野は、主に数学を専攻する研究者により研究されています。計算数理科学は、その構築された数理モデルを、さらにコンピュータを用いて数値計算する研究分野です。

私は、数学屋ではなく、どちらかというと機械屋です。ではなぜ機械屋が、このような研究分野に興味を持って研究しているかといいますと、もともとは、大学で数値流体力学という研究を始めたのがきっかけです。この辺の経緯はまたご説明することにして、私が興味を持っている計算数理科学は、数学的・理論的というよりは、実用的で役に立つような「計算数理科学」です。たとえば、環境・エネルギー問題解決に役立つ計算数理科学、新しい機器開発に役立つ計算数理科学、生活に役立つ計算数理科学、などです。

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はじめに
2008 / 01 / 21 ( Mon )
堅いテーマのブログですが、これまで私が研究・教育してきた内容を中心に、それを社会に還元する心意気は持ちつつも、ここではホームページとは違った気楽な雰囲気で研究の紹介をします。ちなみに、私の研究室のホームページは、

http://www.caero.mech.tohoku.ac.jp/

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